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堺市医師会小児科医会総会

堺市医師会小児科医会2024年度総会が開催されました。

和歌山県立医科大学小児科 徳原大介教授の「消化管免疫について」

という総会講演を聴きました。
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まずは、ワクチンについて。粘膜免疫を利用した経口ワクチンの開発が

行われています。経口ワクチンというとロタワクチンが実用化されていますが、

ノロワクチンの開発や経口コレラワクチンの開発がおこなわれているそうです。

特に、コレラワクチンは健常成人での試験も行われているので、数年後には

実用化されそうです。

また、腸内細菌叢と子どものNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の話も

聴きました。

NAFLDとは、アルコール摂取とは関係の無い脂肪肝変性で、一般の小児でも

4〜10%の有病率と言われており、小児肥満があれば、その有病率は

15〜55%まで増加すると言われています。

NAFLDは将来の肝硬変・肝がん、糖尿病、腎障害、高血圧、脂質異常、

動脈硬化などと関連があると言われており、小児期からの対策が必要です。

NAFLDには様々な要因が関与していますが、腸内細菌叢の乱れも関係が

ありそうです。腸内細菌叢の乱れの原因としては、高カロリー食、

果糖を多量に含む飲料(スポーツドリンクなど市販されているほとんどの清涼飲料水)、

低食物繊維食(野菜を食べない)、運動不足、母体の肥満や高カロリー食。

つまり、肥満の原因となるようなものです。小児肥満はNAFLDを含む

様々な疾患の原因になるので、幼児期からの肥満対策が大切です。

下記の日本小児内分泌学会のホームページをご覧下さい。

ついでにちょっと清涼飲料水について、、、。

清涼飲料水や缶コーヒー、果物のジュースには多量に糖分が含まれています。

一滴も飲まないことをお勧めします、、、と言いたいですが、せめて常飲は

避けましょう。 スポーツドリンクもダメです。

500mlのスポーツドリンクにはスティックシュガー換算で11本分の糖分が

含まれています。スポーツ中の飲み物は麦茶に塩を入れたものか、麦茶と

塩タブレットがお勧めです。

その他、CやDなどの栄養ドリンクも多量に糖分が入っています。
堺市医師会小児科医会総会_d0259962_16000980.png

海老名メディカルプラザ・栄養科の「健康・栄養情報」の平成27年8月の資料の一部を示しました。

詳細は下記のホームページを参考にして下さい。









# by yagiiin | 2024-03-02 16:14 | 八木医院

大阪小児科医会学術集会

本町で開催された第208回大阪小児科医会学術集会に参加しました。

熱性けいれんの話を聞いてきました。
大阪小児科医会学術集会_d0259962_17425449.jpg
子どもが熱性けいれんを起こすと保護者の方々はびっくりしますし、

このままどうにかなってしまうんではないかとパニックになる方も

いるかもしれませんが、熱性けいれんはそれほど怖くないというか、

医学的には命に関わることはなく、特別な後遺症を残したり、発達への影響はなく、

予後は良好なものなので、あまり心配しなくてもいいです。

また、熱が出るたびに、またけいれんを起こすのではないかと心配する

と思いますが、始めて熱性けいれんを起こした子どものうち、

2回目の痙攣を起こす子どもは30%位と言われていて、繰り返す子どもの

方が少ないのです。

万一熱性けいれんを起こしたら、次のように対応します。

1)まず親が落ち着くこと
2)衣服をゆるめて安全な場所に寝かせる
3)手足の動き、眼球の動き、顔色を観察する
4)けいれんしてる時間を計っておく
5)5分以上続く場合や初めてのけいれん発作の場合は救急車を呼ぶ

してはいけないこと
1)口の中にタオルや割り箸など何かを噛ませたり入れたりする
2)大声で呼びかけたり身体を揺すったりする

ただし、そのけいれんが単純な熱性けいれんか、髄膜炎や急性脳症なのかを

見極めるためのは医療機関の受診が必要ですので、時間が長いとか、

治まったあとも意識が戻らないとか、気になることがあれば速やかに医療機関を

受診しましょう。

また、複数回熱性けいれんの既往がある子どもに以前はダイアップ坐薬という

けいれん予防の坐薬を使ったりしていましたが、鎮静作用があるので

意識状態が良く分からなくなるということもあるし、

多くの子どもは繰り返さないので必要ないという事もあって

現在はあまりルーティンに使用する必要はないとされています。

ただし、けいれんするような基礎疾患や発達の問題がある場合には

使用することもあります。

また、熱性けいれんの既往のある保護者の方から聞かれることとして、

予防接種を受けても良いかどうかという質問があります。

熱性けいれんの既往があってもどの種類の予防接種も接種可能です。

そして、以前は、けいれん発作があればその後1年間予防接種を控える

というルールがありましたが、今はそのルールはありません。

現在は、最終発作から2〜3ヶ月ほどあけましょかというガイドラインが

ありますが、これも、接種医の判断で短くしてもよいとされています。

八木先生は、熱性痙攣後であっても特別な基礎疾患がなく全身状態が

良ければあまり期間をあけずにできるだけスケジュール通りに接種

しています。

今日の講演では、「熱性けいれん」という呼び方を変えていきましょう

という話も出ました。「けいれん」というと大きな病気っぽく聞こえたり、

てんかんという病気を連想させるので適切ではないとされていて、

これからは「熱性発作」と呼ぶようにしましょうと言われていました。

八木先生も「熱性発作」という言い方には賛成です。時間がかかるかも

しれませんが、近い将来「熱性発作」という言い方が定着すればいいなと

思いました。


# by yagiiin | 2024-02-17 20:05 | 八木医院

HPVワクチン(子宮頚がんワクチン)の講演会

東京虎ノ門ヒルズで開催されたHPVワクチンprofessional meeting

に飛び入り参加してきました。
HPVワクチン(子宮頚がんワクチン)の講演会_d0259962_17003564.jpg
飛び入り参加というのはどういうことかと言うと、この meetingは

招待制なので、誰でも自由に参加できるという訳ではないのです。

先生は、招待されてなかったんですが、たまたま前日に東京に用事が

あって東京に居てたので、招待されてないけどまあ大丈夫かと

思って受付に行ったのですが、、、。案の定、「少々お待ち下さい」

と言われて、所属と名前を言ってからしばらく待ちました。

で、怪しい人物ではない、堺市の小児科医だという事が判明した

というか、身元の確認ができたので参加させてもらうことができました105.png
HPVワクチン(子宮頚がんワクチン)の講演会_d0259962_17002068.jpg
講演では、金沢市の自治体の取り組みの話が興味深かったです。

やはり、小児科医がHPVワクチンの必要性を説明しても行政が市民に

しっかりと広報し、接種しやすい環境を整える事が必要だと思いました。

また、HPVワクチンは小学6年から高校1年生の間に定期接種が行われていて、

堺市のホームページでは標準的な(望ましい)接種期間として中学1年生の間と

記載されていますが、現在は「小学6年生」が望ましい接種期間です。

過去のHPVワクチンの有害事象の発生頻度も12歳ではほとんど発生して

いないというデータがありますし、今使われている9価ワクチン

「シルガード9」は15歳になるまでに接種を開始すれば2回接種で済みます。

15歳以上は3回の接種が必要です。

小学生高学年女子の保護者の方には正しい情報を知っていただき、

必ず!絶対!娘さんにHPVワクチンを接種させてあげて下さい。

また、現在、これまでに接種の機会を逃して高校1年を過ぎてしまった

女性を対象にあらためて費用負担無しで接種を受ける事業が

行われています。キャッチアップ接種といいます。

ただし、この事業は令和7年3月までの期間限定です。

HPVワクチンのスケジュールは6ヶ月の間に3回接種します。

なので、今年の9月には接種し始めないと間に合いません。

八木医院でもキャッチアップ接種を行っています。

下記のキャッチアップ接種のHPをご覧下さい。

また、子宮頚がんワクチン情報サイトの「みんパピ」のHPもご覧下さい。

保護者の方から「子宮頚がんワクチンて受けた方がいいんですか?」

と聞かれたときの八木先生の答えは

「受けた方が良いじゃありません!

絶対に受けなければいけません!

この子を子宮頚がんで失いたくなかったら」





# by yagiiin | 2023-12-17 22:19 | 八木医院

近畿大学医学部で講義

近畿大学医学部3年生に講義をしてきました。
近畿大学医学部で講義_d0259962_16111085.jpg

テーマは小児の家庭医療。

風邪診療の話半分、開業小児科医の仕事の話半分て感じで講義しました。
近畿大学医学部で講義_d0259962_16111403.jpg
ここ数年はweb講義やハイブリッド講義が続いていましたが、

久しぶりの対面講義です。
近畿大学医学部で講義_d0259962_16111701.jpg
途中サッカー部の試合の応援に行った話などもはさんだりして

眠くならないような工夫も必要です105.png
近畿大学医学部で講義_d0259962_16112750.jpg
講義後も熱心な学生が何人か個別に質問にきてくれました。

この中から小児科を目指す学生がたくさん生まれればいいなと思いました。

近畿大学医学部の案内もご覧下さい。




# by yagiiin | 2023-12-07 20:06 | 八木医院

第38回近畿外来小児科研究会

新大阪で開催された第38回近畿外来小児科研究会に参加してきました。

食物アレルギーの話題が興味深かったです。
第38回近畿外来小児科研究会_d0259962_15575841.jpg
卵や小麦のアレルギーはどうして起こるのでしょうか?

食物アレルギーは乳児期初期の「皮膚の湿疹」に原因があります

湿疹ができている荒れた皮膚から卵や小麦の微粒子が

皮膚の中に侵入し、これは異物だと認識した免疫応答が

起こり卵に対する抗体ができるのです

人間の身体は、口から卵が入ってくることは想定してる

のですが、肌から卵が入ってくることは想定していない

のです。なので、肌から入ってきた卵の微粒子は異物=敵と見なして


抗体という武器を作ってしまうのです。


先に抗体が作られていて、次に口から卵が入ってきた時に

免疫のシステムが「これは異物だ排除せよ!」と指令が下り、蕁麻疹、

咳、嘔吐下痢といった症状が現れるのです。

それでは、卵アレルギーを起こさない為にはどうすればいいのでしょうか?

残念ながら絶対という方法はありません。遺伝的体質もありますし、

家庭で普通に料理をしたりパンを食べたりしているので、

卵や小麦の微粒子をなくすことは不可能です。

唯一できることといえば、赤ちゃんの湿疹はできるだけ

早くからしっかりと治療してきれいにしておくことです。

そのためにはひどい湿疹には積極的にステロイド軟膏を使って

治してあげる必要があります。

日本小児科医会の「子どもとアレルギー」のサイトもご覧下さい。




# by yagiiin | 2023-11-23 22:40 | 八木医院


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