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近畿小児科学会

大阪国際会議場で開催された第26回近畿小児科学会に参加してきました。

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特別講演は、「チームバチスタの栄光」などで知られている、医師で

作家の(本人は医学者とおっしゃっていました)海堂尊先生でした。

演題は「小児医療と市民社会におけるA iの意義」でした。

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A iとは、Autopsy imaging (オートプシーイメージング)のことで、死亡時画像診断のことです。

遺体をCTやMRIで撮影し、異常な所見を見つける(読影する)ことです。

2001年に公開された映画『A.I.』(Artificial Intelligence 人工知能)のことではありません。

日本の死亡者に対する解剖の実施率は1〜3%くらいであり、死因をはっきり特定できない

例がほとんどなのです。医師から死因はなになにですと言われますが、はたして

本当にそうなのか?それで、家族が納得すればいいのかもしれないが、納得していない

家族もたくさんあるのでしょう。解剖をすれば80%くらいの確率で死因を特定できる。

しかし、遺体を傷つけたくない。医師の言う死因を納得して受け入れる、、、。

でも、納得できない時、しかも遺体を傷つけたくない時、そういう時にA iを実施すれば、

解剖したときほどの確率ではないけれども、ある程度正確な死因を特定でき、家族を納得

させてあげることができる。もしかしたら、解剖では分からない死因を特定できるかも

しれない。A i の目的は、遺族と市民社会の「納得」なのだとお話されていました。

日本の14歳以下の小児死亡は年間5000人で、海堂先生は、その全員にA iが必要であると

お話されました。A i で虐待死が判明することもあるのです。

14歳以下の小児死亡者全員にA iを実施するとして、その費用は、CTやMRIが1回5万円とすると、

5000人×5万円で2億5千万円。死亡しているので医療費は使えないし、使うべきでない。

国が費用負担をするような制度が必要だと日本医師会が提言をしているが、、、厚労省や財務省が

渋ってるらしい。年間2億5千万円の費用負担ができない国ではないように思う。

お金はあるけど使い方、使い道を間違っているのだろう。

全ての小児死亡にAiが導入される日は来るのだろうか、、、、。


たまたま、今日夜のNHKスペシャルで、アイスマンと呼ばれている5000年前の

氷漬けの遺体を解剖するという番組が行われていましたが、A iが行われていました。

でも、解剖もされてるからアイスマンをそのままの姿で保存することはしなかった

みたいです。A iだけなら姿はそのまま残せたでしょうに。



A iや医療に関わらず、世間で何か新しいこと、やればいいのにというようなことを

「じゃまする人」がいる。そのような人々は現在の体制、権利を大切にしている。

そのような人々が未来を食いつぶしている、市民社会を殺している、、、

ということをお話されたのも印象的でした。

私たちのすぐ近くにもそういう「じゃまする人」がいてるように思います。



国際会議場前に1本だけ、ほぼ満開の桜の木がありました。

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by yagiiin | 2013-03-24 23:55 | 院長の休日


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